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外部顧問とは——顧問税理士・CFO代行との違いと使い分け

「顧問税理士はいるのに、経営の数字を相談できる相手がいない」「外部顧問を入れたいが、誰に何を頼めばよいのか分からない」——経営者の方から、こうした声をよく聞きます。外部顧問と一口に言っても、担う領域は専門家ごとに大きく異なります。

本記事では、主な外部顧問の違いと、自社に合った使い分けの考え方を整理します。なお、当社自身がCFO代行(コムレイド経営企画部)を提供する立場です。その前提でお読みください。だからこそ、CFO代行が担わない領域についても、はっきり書くことにします。CFO代行そのものの類型や選び方は「外部CFO・CFO代行とは——類型と失敗しない選び方5つ」で詳しく解説していますので、本記事では外部顧問全体の中での位置づけに絞ります。

外部顧問とは

外部顧問とは、社外の専門家と継続的な契約(顧問契約)を結び、専門分野の相談に乗ってもらったり、業務の一部を担ってもらったりする形の総称です。必要なときだけ単発で依頼するのではなく、自社の状況を継続的に把握してもらったうえで助言を受けられる点が特徴です。

中小企業でよく見られるのは、顧問税理士、顧問弁護士、社会保険労務士です。これに加えて、経営管理や財務の機能を担うCFO代行(外部CFO)や、特定の業界や分野に詳しい経験者を顧問として迎える形もあります。

主な外部顧問と、担う領域

まずは、それぞれの外部顧問が主にどの領域を担うのかを整理します。

外部顧問 担う領域 主な内容 顧問税理士 税務・会計 記録と申告を正しく 税務申告、決算・記帳の指導 税務の相談 顧問弁護士 法務 法的なリスクを防ぐ 契約書の確認、トラブルへの対応 法律の相談 社会保険労務士 労務 労務を法令どおりに 社会保険・労働保険の手続き 就業規則、労務の相談 CFO代行 (外部CFO) 経営管理・財務 未来の意思決定を支える 予算・予実管理、資金繰り、KPI 経営会議、金融機関への説明

図1:主な外部顧問と担う領域——税務・法務・労務と、経営管理・財務は別の領域

税理士・弁護士・社会保険労務士は、いずれも国家資格に基づく専門家です。税務の申告の代理は税理士、法律事務は弁護士、労働・社会保険の書類の作成や提出の代行は社会保険労務士の業務として、法律で定められています。これらの領域は、資格を持つ専門家に任せるべき仕事です。

一方、CFO代行が担うのは、予算や資金繰り、KPIといった経営管理・財務の領域です。こちらは資格で業務の範囲が決まっているわけではなく、提供する会社や人によって、何をどこまで担うかが大きく異なります。だからこそ、依頼する前に範囲を確かめることが大切です。

なお、経営管理の機能が今どこまで社内にあるのかは、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

顧問税理士とCFO代行は、何が違うのか

最も混同されやすいのが、顧問税理士とCFO代行です。どちらも会社の数字を扱うため、「税理士がいるなら十分では」と考える方も少なくありません。

両者の違いは、扱う数字の時間軸にあります。顧問税理士の中心的な仕事は、過去の取引を正しく記録し、決算と税務申告を適正に行うことです。これは会社の信頼の土台であり、欠かすことのできない仕事です。これに対してCFO代行の中心は、まだ確定していない未来の数字です。来期の予算をどう立てるか、資金は何か月先まで持つか、この投資は回収できるか——前提を置いて数字を作り、意思決定に使える形にすることが役割です。

この関係は、「CFOの役割とは——仕事内容と経理部長との違い・機能の持ち方」で書いた経理部長とCFOの違いとよく似ています。どちらが上ということではなく、役割が違うのです。

もちろん、税理士事務所によっては、経営計画や予算づくりの支援まで手がけているところもあります。顧問税理士に経営の相談もできていて、それで回っているなら、無理に別の顧問を入れる必要はありません。大切なのは、「税理士」「CFO代行」という名前ではなく、誰が、何を、どこまで担っているかで考えることです。

「1人の顧問」と「チーム」の違い

CFO代行を検討するときにもう一つ考えておきたいのが、1人の専門家に頼るか、チームとして機能を担ってもらうかです。CFO経験者などの個人と契約する形もあれば、複数のメンバーで支援する会社に依頼する形もあります。

1人の顧問に頼る ◯ 経験豊富な人に直接相談できる ◯ 相性が合えば話が早い △ その人の得意分野と時間に左右される △ 不在や交代で止まりやすい チームで機能を持つ ◯ 複数の専門性を組み合わせられる ◯ 担当が替わっても仕組みが残る △ 窓口と実際の担当者の確認が必要 △ 社内との役割分担の設計が要る

図2:「1人の顧問」と「チーム」——それぞれに向き不向きがある

1人の顧問の良さは、経験豊富な人に直接相談でき、相性が合えば話が早いことです。経営者の壁打ち相手として、これ以上の形はないかもしれません。一方で、支援の幅はその人の得意分野と使える時間に左右されます。予算、資金繰り、金融機関への説明、M&Aといった経営管理の仕事は幅が広く、1人ですべてを深く担うのは簡単ではありません。また、その人が忙しくなったり契約が終わったりすると、仕組みごと止まってしまうこともあります。

チームで担う形の良さは、複数の専門性を組み合わせられることと、担当が替わっても仕組みが残りやすいことです。その代わり、窓口の人と実際に手を動かす人が違うこともあるため、誰が担当するのかを契約前に確かめる必要があります。確認のポイントは、冒頭で紹介した「外部CFO・CFO代行とは」の記事で詳しく解説しています。

どちらが良いかは、会社の状態によります。経営者の考えを整理する相談相手がほしいなら、1人の顧問が向いています。月次の数字や予算の仕組みを社内に作りたいなら、チームで手を動かしてもらう形が現実的です。

自社に合った使い分けの考え方

私が経営者の方とお話しするときは、次の3つの順番で整理することをおすすめしています。

第一に、困りごとを「過去・法令」と「未来」に分けることです。税金の申告、契約書、社会保険の手続きといった、正しく処理すべきことや法令への対応は、資格を持つ専門家の領域です。一方、来期の予算をどう立てるか、資金繰りの見通しをどう持つか、どの数字を経営の指標にするかといった未来の意思決定は、経営管理の領域です。後者の進め方は「年度予算の作り方」や「KPI設計の進め方」でも解説しています。

第二に、任せたい深さを決めることです。助言だけ受けて実務は社内で回すのか、資料づくりや仕組みづくりまで手を動かしてもらうのかで、依頼する相手も契約の形も変わります。社内に経理や経営企画の実務を担える人がいるかどうかが、判断の分かれ目になります。

第三に、既存の顧問との役割分担を決めることです。たとえば、試算表は顧問税理士と社内の経理で正しく締め、その数字を使って予算と実績を比べ、経営会議で議論できる形にするのはCFO代行、という分け方です。外部顧問が複数いるときは、数字がどこから来て、どこへ渡るのかという流れを決めておくと、同じ数字を何度も作り直す無駄がなくなります。

✔ ポイント

外部顧問は、数を増やすことが目的ではありません。顧問が何人いても、それぞれの役割があいまいなままだと、経営者がすべての窓口になり、数字の整理も判断も一人で抱えることになります。まずは「過去・法令」と「未来」のどちらの困りごとなのかを分けて、足りない機能だけを外から補う。その考え方で選べば、顧問の数は少なくても、経営の支えは厚くなります。CFOの機能を社内でどう持つかは、CFOの役割とはの記事でも整理しています。

まとめ

  1. 外部顧問とは、社外の専門家と継続的な契約を結び、専門分野の相談や業務を担ってもらう形の総称
  2. 顧問税理士・顧問弁護士・社会保険労務士は、資格に基づいて税務・法務・労務を担う。CFO代行は、予算・資金繰り・KPIなど経営管理・財務の領域を担う
  3. 顧問税理士とCFO代行の違いは時間軸。過去を正しく記録するのが前者、未来の意思決定を支えるのが後者
  4. 1人の顧問とチームには、それぞれ向き不向きがある。相談相手がほしいのか、仕組みを作りたいのかで選ぶ
  5. 使い分けは、困りごとを「過去・法令」と「未来」に分け、任せたい深さを決め、既存の顧問との役割分担を決める——の順で考える

経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認いただけます。また、当社のコムレイド経営企画部は、CFOクラスのプロが伴走する社外の経営企画部として、予実管理やKPI、経営会議の資料など、経営管理の仕組みを社内に作るサービスです。税務・法務・労務の業務は行いませんので、既存の顧問の先生方とは役割を分けてご一緒します。「顧問税理士はいるが、経営の数字を相談できる相手がいない」という段階のご相談は、経営管理 無料診断(60分・オンライン)でお気軽にどうぞ。


執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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