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販促KPIの設計方法——施策別の指標例と決め方

販促KPIとは、販売促進の施策が売上につながっているかを、売上が確定する前に途中で確かめるための指標です。展示会、Web広告、チラシ、キャンペーンなど、販促にはさまざまな施策がありますが、どれも「お金をかけたのに、効いたのかどうか分からない」という悩みを生みやすい分野です。

私が経営管理のご支援で販促の数字を見せていただくと、表示回数や配布枚数は把握されていても、そこから先の問い合わせや受注、粗利までがつながっていないことがよくあります。本記事では、販促のKPIを設計する考え方と、施策別の指標例を整理します。KPI設計そのものの進め方は「KPI設計の進め方——4ステップとKPI定義書の作り方」で解説していますので、あわせてご覧ください。

販促KPIは「売上までの道のり」から逆算する

販促KPIを設計するときの出発点は、お客様が販促に触れてから売上になるまでの道のりを、段階に分けて書き出すことです。業種によって言葉は変わりますが、おおむね次の5つの段階に分けられます。

①接触 ②反応 ③商談・購入 ④売上・粗利 ⑤継続 表示回数 配布数 問い合わせ数 来店数・資料請求数 商談数 購入件数 販促経由の売上 販促経由の粗利 再購入率 継続率 販促KPIの中心は②と③ ④の結果より先に動き、施策ごとに比べられる

図1:販促から売上までの5つの段階と指標の例

①の接触の指標(表示回数や配布数)は、数字が大きく出やすく、つい報告の中心になりがちです。しかし、接触がいくら増えても、反応や購入につながらなければ売上にはなりません。逆に、④の売上は最終的な結果ですが、確定するまでに時間がかかり、どの施策が効いたのかも分かりにくい数字です。

そこで販促KPIの中心に置くのは、②の反応と③の商談・購入です。この2つは売上より先に動き、施策ごとに数えることができます。KPI設計の記事で書いた「結果指標の手前に、現場が動かせる先行指標を置く」という考え方を、販促に当てはめたものです。

なお、販促を含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

施策別の販促KPIの例

施策によって、何を数えるかは変わります。代表的な施策について、まず数える指標と、あわせて見る成果・効率の指標の例を整理します。

施策 まず数える指標 あわせて見る指標(成果・効率) 展示会 名刺の獲得数 3か月以内の商談数 Web広告 問い合わせ数 獲得単価(広告費÷問い合わせ数) チラシ・DM 反応数(来店・問い合わせ) 反応率(反応数÷配布数) 値引きキャンペーン 期間中の販売数 期間中の粗利、終了後の反動 紹介 紹介件数 紹介からの成約率

図2:施策別の販促KPIの例——自社の売上までの道のりに合わせて選ぶ

ここに挙げたのはあくまで例です。たとえば展示会でも、その場で受注が決まる業種もあれば、商談化まで半年かかる業種もあります。図1の段階に自社の実際の流れを当てはめ、どこを数えるのが妥当かを決めてください。

販促KPIの決め方——4つのポイント

施策ごとの指標が決まったら、経営の判断に使える形に整えます。私が販促KPIの設計をお手伝いするときに、必ず確認する4つのポイントを挙げます。

第一に、費用1円あたりで何が得られたかを測ることです。販促費÷獲得した問い合わせ数(または商談数)で、1件あたりの獲得単価を出します。施策ごとに獲得単価を並べると、同じ予算をどこに使うのが効率的かを比べられます。件数だけを見ていると、費用をかけた施策ほど成果が大きく見えてしまいます。

第二に、売上ではなく粗利で見ることです。値引きキャンペーンは、期間中の売上を大きく伸ばすことがあります。しかし、値引きの分だけ1件あたりの粗利は減り、キャンペーンの終了後に売れ行きが落ちる反動が出ることもあります。販促の成果は、販促費を差し引いた後に粗利がいくら残ったかで判断します。粗利の考え方は「管理会計の始め方——財務会計との違いと最初の4ステップ」で解説しています。

第三に、測る時期をあらかじめ決めておくことです。販促の効果は、施策を打った月に出るとは限りません。展示会で出会った見込み客が商談になるまで数か月かかるなら、「出展から3か月後の商談数で判断する」と先に決めておきます。決めておかないと、効果が出る前に「効かなかった」と判断して打ち切ってしまったり、逆に効果の出ない施策を続けてしまったりします。

第四に、数えられる仕組みとセットで決めることです。問い合わせがどの施策から来たのかが分からなければ、施策別のKPIは作れません。問い合わせフォームや電話の受付で「何を見てご連絡いただいたか」を聞く、チラシごとに専用の申込方法を用意する、といった仕組みを、施策を始める前に決めておきます。指標の定義や集計元は、KPI設計の記事で紹介した「KPI定義書」に書いておくと、担当者が替わっても数え方がぶれません。

✔ ポイント

販促KPIの目的は、販促の担当者を評価することではなく、限られた販促予算をどこに使うかを決めることです。施策ごとの獲得単価と粗利、そして効果を測る時期がそろっていれば、来期の販促予算も「前年と同じだけ」ではなく、効いた施策に寄せて組み直せます。販促予算を社内で要求するときの書き方は、予算取りとは——通る予算要求の作り方と進め方の記事で紹介しています。

まとめ

  1. 販促KPIとは、販売促進の施策が売上につながっているかを、売上が確定する前に途中で確かめる指標
  2. お客様が販促に触れてから売上になるまでを、接触・反応・商談/購入・売上/粗利・継続の段階に分け、反応と商談・購入を中心に置く
  3. 施策ごとに数えるものは変わる。展示会なら名刺の獲得数と一定期間内の商談数、Web広告なら問い合わせ数と獲得単価など
  4. 決め方のポイントは、獲得単価で測る、粗利で見る、測る時期を決める、数えられる仕組みとセットで決める——の4つ

自社の経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認いただけます。また、当社のコムレイド経営企画部では、販促を含むKPIの設計から、施策別の費用対効果を月次で見える化する仕組みづくり、来期の予算への反映までを、CFO・経営企画のプロが伴走してご支援しています。「販促にかけたお金が効いているのか、数字で確かめたい」という段階のご相談は、経営管理 無料診断(60分・オンライン)でお気軽にどうぞ。


執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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