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経営会議の進め方——報告会で終わらせない資料構成とアジェンダ

「経営会議はやっている。資料も毎月作っている。ただ、何かが決まった記憶があまりない」——「経営企画部の立ち上げで最初につまずく5つのこと」の3つ目に挙げた、経営会議が「報告会」になる問題です。

この問題の厄介なところは、誰も手を抜いていないことです。資料を作る側は徹夜で明細を揃え、報告する側は丁寧に説明し、聞く側は真剣に質疑する。全員が真面目に取り組んだ結果、時間が尽きて「で、来月どうするか」が話されないまま散会する。つまりこれは、努力の問題ではなく構造の問題です。

本記事では、経営会議を意思決定の場に変えるための「資料構成の型」「アジェンダの時間配分」「論点の書き方」を、私が支援先で使っている形のまま紹介します。

経営会議の目的は「共有」ではなく「決定」

最初に立ち位置をはっきりさせます。経営会議の成果物は、報告の完了ではなく、意思決定とアクションです。会議が終わったときに「何が決まったか」「誰が・いつまでに・何をやるか」が言えなければ、その会議は貴重な経営陣の時間を集めて情報共有をしただけ、ということになります。

情報の共有自体は必要です。ただ、共有は資料の事前配布で大部分を済ませられます。全員が同じ時間に集まらなければできないのは「議論して決めること」だけ——この整理が、以降のすべての型の前提になります。

なぜ報告会になるのか——時間配分で見る

報告会化した会議を時間配分で見ると、構造がよく分かります。

報告会型の60分(よくある形) 実績の報告と説明 45分 質疑 10分 未来の議論 5分 意思決定型の60分(目指す形) 着地確認 10分 論点の討議 40分 決定・宿題 の確認 10分

図1:時間配分を逆転させる——議論の時間は「先に確保」しないと生まれない

上の帯が報告会型です。報告と説明が時間の大半を占め、未来の議論は「残った時間」に押し込まれています。残り時間は毎回5分——つまり、議論の時間は自然発生しません。先にアジェンダで確保するしかない、というのが実務上の結論です。

では、時間配分を逆転させるには何が必要か。資料の構成から変える必要があります。報告中心の資料のまま議論の時間だけ増やしても、「何について議論するのか」がないため、時間は雑談か詰問に流れます。

資料構成の型——主役は前半の2枚

私が支援先で使っている資料構成は、次の順番です。

1枚目 着地見込み サマリー 2枚目〜 論点 (決めたいこと) 続き KPIハイライト (異常値のみ) 巻末 予実・実績の明細 (参照用) 主役は前半の2枚。明細は「説明する資料」ではなく「聞かれたら開く資料」に

図2:経営会議資料の構成の型

1枚目:着地見込みサマリー。今期はこのままいくとどこに着地しそうか。売上・利益・資金の3行でも構いません。会議の全員が最初に同じ現在地に立つための1枚です。過去の実績ではなく着地見込みを置くのがポイントで、この考え方は「はじめての予実管理」の記事で書いたSTEP 4がそのまま使えます。

2枚目以降:論点。今日決めたいことを1〜3個。これが会議の本体です(書き方は後述します)。

その後ろ:KPIハイライト。すべてのKPIを並べるのではなく、想定から外れた数字だけを載せます。順調な数字の説明に時間を使う必要はありません(そもそも載せるKPIの絞り方は「KPI設計の進め方」の記事をご参照ください)。

巻末:予実・実績の明細。捨てるのではなく、後ろに回します。質疑で「その内訳は」と聞かれたときに開く参照資料、という位置づけです。

なお、経営会議を含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

論点の書き方——「問い・選択肢・推奨案」の3点セット

資料構成と同じくらい重要なのが、論点の書き方です。

報告の形(事実で終わる) 「新規事業Xは計画未達でした」 論点の形(決められる) 「Xを継続するか撤退するか。継続なら条件は何か——選択肢はA・B、推奨はA」

図3:論点は「問いの形」で書く

論点には3つの要素を入れます。

  1. 問い——「〜すべきか」の形で書く。事実の記述(〜でした)は論点ではありません
  2. 選択肢——取りうる道を2〜3個。それぞれの数字への影響を添える
  3. 推奨案——事務局(経営企画・CFO)としてどれを推すか、理由と一緒に

推奨案まで書くことに遠慮を感じる方もいますが、白紙の問いを投げるより、推奨案を叩き台にするほうが議論は速く深くなります。最終的に決めるのは経営者です——この分担は「CFOの役割とは」の記事で書いた「選択肢と推奨案は事務局、決定は社長」の関係そのものです。

運用のコツ3つ

型を作ったら、運用で守るのは次の3つです。

その1:資料は前日までに配布し、会議で読み上げない。会議の冒頭は「資料は読んできた前提で、1枚目の着地だけ5分で確認します」から始めます。読み上げをやめるだけで、時間配分の逆転(図1)は半分実現します。

その2:決定事項と宿題を最後の10分で確認する。「誰が・いつまでに・何を」まで言葉にして散会します。ここが曖昧なまま終わると、次回の会議が「前回の宿題どうなりましたっけ」から始まります。

その3:次回の冒頭で宿題をフォローする。決定が実行される会議だと全員が分かると、論点への向き合い方が変わります。逆にここを飛ばすと、どれだけ資料を磨いても「決めても動かない会議」に戻ります。

✔ ポイント

すべてを一度に変える必要はありません。まず「1枚目に着地見込みを置く」「論点を1つだけ問いの形で書く」——この2つから始めても、会議の空気は目に見えて変わります。資料の完成度を上げることより、論点を立てることに時間を使ってください。明細づくりに徹夜する経営企画より、論点を3つ持ってくる経営企画のほうが、経営へのはるかに大きな貢献です。

まとめ

  1. 経営会議の成果物は報告の完了ではなく、意思決定とアクション
  2. 議論の時間は自然発生しない。アジェンダで先に確保する(報告10分・討議40分・決定10分)
  3. 資料の主役は前半2枚——着地見込みサマリーと論点。明細は巻末の参照用に
  4. 論点は「問い・選択肢・推奨案」の3点セットで書く
  5. 前日配布・読み上げ禁止・宿題フォローの3つで運用を守る

経営会議を含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)でセルフチェックいただけます。また、当社のコムレイド経営企画部では、経営会議の資料の型づくりから論点の立て方、会議での議論の伴走までを、CFO・経営企画のプロがご支援しています。経営管理 無料診断(60分・オンライン)では、貴社の現在の会議資料を拝見してのアドバイスも可能ですので、お気軽にご相談ください。


執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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