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税金滞納倒産が2倍に——納付資金を守る資金繰りの備え

本記事は2026年10月14日時点の公開情報に基づいています。データの詳細は東京商工リサーチの公表記事をご確認ください。本記事は資金繰りの観点からの一般的な情報提供であり、税務の個別の判断や手続きについては、顧問税理士などの専門家にご相談ください。

ニュース解説の第13弾は、税金や社会保険料の滞納がきっかけの倒産です。税金の話に見えますが、本質は「納付のためのお金が手元に残らない」という資金繰りの問題です。今回は、その資金繰りの側面に絞って考えます。

ニュースの概要

東京商工リサーチは2026年10月8日、2026年度上半期(4〜9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産の集計を公表しました(出典:東京商工リサーチ TSRデータインサイト)。

  • 2026年度上半期の「税金滞納」倒産は168件(前年同期比100.0%増)。前年同期の2倍で、この10年で最多
  • 資本金1千万円未満の企業が98件(構成比58.3%)と半数超
  • 形態別では、破産が164件(同97.6%)と大半を占める
2026年度上半期の件数 168件 前年同期の2倍・10年で最多 資本金1千万円未満 58.3% 168件のうち98件 破産 97.6% 168件のうち164件

図1:2026年度上半期の「税金滞納」倒産の概要(出典:東京商工リサーチ 2026年10月8日公表)

なぜ、納付が後回しになるのか

東京商工リサーチは、物価や人件費などのコストアップが収益を圧迫し、納付の原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車をかけていると分析しています。価格交渉で立場の弱い企業ほど資金繰りが厳しく、運転資金を優先して、納付を後回しにせざるを得ない状況がうかがえるとしています。

資金繰りに余裕がなくなったとき、経営者は「今月の支払い」を優先しがちです。仕入先への支払いが遅れれば取引が止まり、給与が遅れれば従業員が離れます。それに比べて、納付は「少し待ってもらえる」ように見えてしまう——ここに落とし穴があります。

コストアップで 利益が減る 物価高・人件費の上昇 運転資金を優先し 納付を後回し 仕入・給与を先に払う 金融機関や取引先へ 照会が届く 滞納が一定期間続くと 信用が低下し 事業を続けられない 取引継続が難しくなる 後回しにした納付は、消えずに積み上がる 先送りするほど、取り戻すための資金は大きくなる

図2:納付の後回しが倒産につながる流れ(出典:東京商工リサーチの分析をもとに作成)

同社は、滞納が一定期間続くと金融機関や取引先に取引の照会が送られ、レピュテーション(評判)のリスクにさらされると指摘しています。経営者に事業を続ける意思があっても、取引先からの信用が下がれば、事業をあきらめるきっかけになりかねません。滞納は、資金の問題であると同時に、信用の問題でもあるのです。

実務家の視点——納付の資金を守る3つの備え

ここでは税務の手続きではなく、資金繰りの側から、納付が苦しくなる前にできることを考えます。

第一に、納付の予定を資金繰り表に最初から入れておくことです。税金や社会保険料の納付は、毎月の仕入れや給与と違って、時期によって金額が大きく変わる支払いです。「資金繰り表の作り方」でも、資金繰りを狂わせるのは「たまにやってくる大きな支払い」だと書きました。年間の支払いカレンダーに納付の時期と見込み額を入れておけば、その月に向けて資金を準備できます。

第二に、納付のための資金を「使えないお金」として分けて考えることです。売上の入金があると、そのうちの一部が将来の納付に充てるべきお金だということを忘れがちです。預かっている性質のお金や、後で必ず出ていくお金は、口座の残高とは別に把握しておく。月次の数字で「自由に使えるお金」がいくらなのかを見えるようにしておくことが、後回しを防ぐ一番の備えです。

第三に、苦しくなりそうなら、滞納する前に相談することです。資金繰りの見通しが立たないと分かった時点で、顧問税理士などの専門家や関係する窓口に早めに相談してください。月の中で資金がいつ細るかは、「13週資金繰り表の作り方」の週次の表で前もって把握できます。早く分かれば、取れる手段も多くなります。

そもそもの原因であるコストアップには、価格の見直しで向き合う必要があります。価格交渉の進め方は「物価高倒産が436件——価格交渉を数字で進める3つの準備」で解説しました。

なお、資金繰りを含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

✔ ポイント

納付を後回しにすることは、問題を先送りしているだけで、解決にはなりません。むしろ、先送りした分だけ取り戻すための資金は大きくなり、信用を失うリスクも高まります。大切なのは、納付が苦しくなる「前」に気づくことです。納付の予定が資金繰り表に入っていて、自由に使えるお金が月次で見えていれば、数か月前から手を打てます。資金繰りに余裕がない局面ほど、数字を見る頻度を上げてください。返済の負担を抱えている会社の備えは、ゼロゼロ融資後の倒産は減少の記事もご参照ください。

まとめ

  1. 2026年度上半期の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は168件で、前年同期の2倍・この10年で最多。小・零細企業が半数超
  2. コストアップで納付の原資を確保できず、運転資金を優先して納付を後回しにする会社が行き詰まっている
  3. 滞納が続くと金融機関や取引先に照会が届き、信用の低下が事業継続を難しくする
  4. 備えは、納付の予定を資金繰り表に入れる、納付に充てる資金を分けて考える、苦しくなる前に専門家に相談する——の3つ

当社のコムレイド経営企画部では、納付の予定まで織り込んだ資金繰り表の整備や、月次で「自由に使えるお金」が見える仕組みづくりを、CFO・経営企画のプロが伴走してご支援しています。税務の申告や手続きそのものは当社の業務範囲外ですが、その手前の資金計画を一緒に整えることができます。「先々の資金の動きを、数字で見えるようにしたい」という段階のご相談は、経営管理 無料診断(60分・オンライン)でお気軽にどうぞ。


出典(2026年10月14日閲覧)

執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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