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ゼロゼロ融資後の倒産は減少——返済が重い会社の備え

本記事は2026年10月9日時点の公開情報に基づいています。データの詳細は東京商工リサーチの公表記事をご確認ください。本記事は一般的な情報提供です。個別の返済条件については、取引金融機関にご相談ください。

ニュース解説の第11弾は、コロナ禍の資金繰り支援として広く使われた「ゼロゼロ融資」(実質無利子・無担保融資)を利用した後の倒産です。数字だけを見ると良いニュースですが、その裏側には見落とせない課題が残っています。

ニュースの概要

東京商工リサーチは2026年10月8日、2026年度上半期(4〜9月)の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産の集計を公表しました(出典:東京商工リサーチ TSRデータインサイト)。

  • 2026年度上半期の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は149件(前年同期比30.6%減)。2023年度同期の335件をピークに、3年連続で前年を下回った
  • 9月は19件で、2022年2月以来、4年7か月ぶりに10件台
  • 資本金1千万円未満の小・零細規模が94件(構成比63.0%)。産業別では飲食店を含む「サービス業他」が41件で最多
  • 2020年7月の第1号からの累計は2,461件
2026年度上半期 149件 前年同期比 30.6%減 2026年9月 19件 4年7か月ぶりの10件台 2020年7月からの累計 2,461件 2020年7月の第1号から

図1:「ゼロゼロ融資」利用後の倒産の概要(出典:東京商工リサーチ 2026年10月8日公表)

「減っている」は「解決した」ではない

倒産が減っていることは、素直に良い傾向です。ただ、東京商工リサーチは同じ記事の中で、コロナ禍の資金繰り支援で抱えた過剰な債務を返しきれず、リスケ(返済条件の変更)で返済を先送りしている企業への対応が注目されると指摘しています。倒産に至っていなくても、返済の重さを抱えたまま事業を続けている会社は少なくないということです。

そうした会社に、いま3つの負担が重なりつつあります。

物価高・人件費の上昇 コストが増え、価格転嫁が 追いつかない 金利の上昇 借入の利払いが 重くなる 金融機関の姿勢の変化 「金利のある世界」で 採算を重視する方向へ 返済の原資が圧迫される 本業でどれだけ利益を出せるかが問われる

図2:返済を先送りしている会社に重なる3つの負担(出典:東京商工リサーチの指摘をもとに作成)

1つ目は、物価高と人件費の上昇です。東京商工リサーチは、飲食店を中心に、食材や人件費、光熱費が上がる一方で、客離れを恐れて価格転嫁が進まない状況を指摘しています。

2つ目は、金利の上昇です。日本銀行は9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げました。同社は、金利上昇の影響はこれから出てくるとみられ、収益を確保しにくい企業には利払いの負担も重くのしかかると見ています。

3つ目は、金融機関の姿勢の変化です。「金利のある世界」に戻り、金融機関は採算を重視する姿勢に変わってきていると同社は分析しています。

3つに共通するのは、返済の元手になる本業の利益が問われているという点です。

実務家の視点——返済が重い会社が今のうちに整えたい3つのこと

返済条件の見直しは、それ自体が悪いことではありません。資金繰りを守るための正当な手段です。大切なのは、先送りしている期間を「時間稼ぎ」で終わらせず、本業を立て直すための時間として使うことです。

第一に、借入の全体像と返済予定を1枚にすることです。金融機関ごと、契約ごとに、残高、金利(変動か固定か)、返済の条件、条件変更の期限を並べます。今後の金利上昇でどれだけ利払いが増えるかも、この一覧があれば試算できます。考え方は「日銀利上げ、政策金利1.25%へ——中小企業の借入への影響」で解説しました。

第二に、資金繰りを週単位で見える状態にすることです。返済の負担が重い会社ほど、月の中で資金が細る時期を正確につかむ必要があります。「13週資金繰り表の作り方」で書いた週次の表があれば、いつ、いくら足りなくなりそうかを早めに把握し、金融機関に相談する時間をつくれます。

第三に、「どこで利益を出すか」を数字で示せるようにすることです。金融機関が採算を重視するようになる中で、返済条件の見直しや新たな支援を受けるには、本業で利益を確保できる道筋を説明する必要があります。どの事業・商品が利益を生んでいて、どこを立て直すのか。事業別の損益の見方は「管理会計の始め方」で、価格を見直す根拠づくりは「日銀短観9月調査——中小企業の数字が示す3つの課題」で触れています。

経営改善の計画づくりには、中小企業活性化協議会や認定経営革新等支援機関による支援もあります。一人で抱え込まず、早めに相談先を持っておくことも大切です。

なお、資金繰りを含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

✔ ポイント

返済が重いときほど、金融機関との対話は避けたくなるものです。しかし、資金が本当に足りなくなってから相談するのと、数か月前に数字を持って相談するのとでは、取れる選択肢がまったく違います。借入の一覧、週次の資金繰り、本業の利益の見通し——この3つがそろっていれば、相談は「お願い」ではなく「計画の共有」になります。経営者保証の見直しも含めた金融機関との向き合い方は、経営者保証なし融資が55.7%にの記事もご参照ください。

まとめ

  1. 2026年度上半期の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は149件(前年同期比30.6%減)で、3年連続の減少。9月は4年7か月ぶりに10件台
  2. ただし、返済を先送りしている会社には、物価高・人件費、金利の上昇、金融機関の採算重視という3つの負担が重なりつつある
  3. 共通して問われるのは、返済の元手になる本業の利益
  4. 今のうちに、借入と返済予定の一覧、週次の資金繰り、本業で利益を出す道筋の3つを整え、早めに金融機関や支援機関と話しておく

当社のコムレイド経営企画部では、借入一覧や資金繰り表の整備、事業別の採算の見える化、金融機関に説明するための計画と資料づくりまでを、CFO・経営企画のプロが伴走してご支援しています。「返済の見通しを数字で整理し、金融機関に説明できる形にしたい」という段階のご相談は、経営管理 無料診断(60分・オンライン)でお気軽にどうぞ。


出典(2026年10月9日閲覧)

執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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