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地銀再編が加速——メインバンクと向き合う3つの備え

本記事は2026年10月16日時点の公開情報に基づいています。データの詳細は東京商工リサーチの公表記事をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融機関との取引を勧めるものではありません。

ニュース解説の第15弾は、地方銀行の再編です。ここ数回は倒産の集計を取り上げてきましたが、今回はお金を借りる側から見た金融機関の変化を考えます。メインバンクの統合や合併は、中小企業にとって他人事ではありません。

ニュースの概要

東京商工リサーチは2026年8月12日、全国162万4,517社を対象にした「2026年 メインバンク調査」の結果を公表しました(出典:東京商工リサーチ TSRデータインサイト)。

  • 地銀の統合や再編が加速し、予定を含む「1県1行体制」は全国13県に増えた
  • 2026年に入ってからも合併が相次ぎ、2027年にかけても複数の統合・合併が予定されている。同じ県内だけでなく、県をまたぐ統合も予定されている
  • メインバンクとしての取引社数の増加率では、上位4行をネット銀行が占めた。業態を超えてメインバンクの獲得競争が激しくなっている

さらに同社は2026年10月2日、東北の地方銀行3行による経営統合に向けた協議を取り上げ、再編の背景を解説しています(出典:東京商工リサーチ TSRデータインサイト)。地方で人口減少が進む一方、ネット銀行が台頭して地域性という強みが弱まっていること、基幹システムなどの運営コストも上がっており、生き残りにはメインバンクとしての取引社数「2万社が一つの目安」との声も聞かれることが挙げられています。

予定を含む1県1行体制 13県 統合・再編が加速 取引社数の増加率 上位4行 いずれもネット銀行 生き残りの目安との声 2万社 メインバンクとしての取引社数

図1:地銀再編をめぐる数字(出典:東京商工リサーチ 2026年8月12日・10月2日公表)

金融機関の側で、何が起きているのか

調査からは、金融機関の側で3つの変化が同時に進んでいることが読み取れます。一つは、統合や合併による再編です。もう一つは、ネット銀行の台頭による、業態を超えた競争です。そして三つめは、取引先の事業を理解したうえでの支援の重視です。同じ調査で、メインバンクとなっている取引先の増収増益率が高かった銀行は、取引先の事業への理解や、融資にとどまらない課題解決の支援を取り組みとして挙げています。

借りる側にとって、再編は「いつもの銀行が、明日も同じとは限らない」ことを意味します。統合や合併の後には、担当者や窓口、手続きのしくみが変わることがあります。そのとき、これまで担当者との長い付き合いの中で伝わっていた自社の事情は、そのまま引き継がれるとは限りません。

金融機関の側で起きていること 統合・合併で、担当や窓口が変わりうる ネット銀行など、業態を超えた競争 取引先の事業を理解した支援の重視 中小企業の側でできる備え 自社の数字を、定期的に説明する 借入の全体像を、一枚にまとめる 複数の金融機関と、事業の話をする

図2:金融機関の変化と、中小企業の側でできる備え(出典:東京商工リサーチの調査をもとに作成)

実務家の視点——メインバンクと向き合う3つの備え

再編そのものは、借りる側が左右できることではありません。ただ、どの金融機関とどんな形で付き合うことになっても困らないように、自社の側で準備しておけることはあります。

第一に、自社の数字を、定期的に金融機関に説明することです。決算書を年に一度渡すだけでは、担当者が替わったときに会社の今の姿は伝わりません。月次の試算表や資金繰りの見通し、今期の予算と実績を、四半期や半期ごとに自分たちの言葉で説明しておく。こうした積み重ねは、担当者が替わっても記録として残ります。説明の土台になる予算の作り方は「年度予算の作り方」で解説しています。

第二に、借入の全体像を一枚にまとめておくことです。どの金融機関から、いくら、どんな金利と返済条件で借りているのか。担保や経営者保証はどうなっているのか。これを一覧にしておくと、統合で取引の窓口が変わるときも、条件の見直しを相談するときも、話が早く進みます。業態を超えて金融機関の選択肢が広がるなかでは、条件を比べるときの土台にもなります。金利が上がる局面では、借入ごとの金利の条件を把握しておくことの重要性も増しています(「日銀利上げ、政策金利1.25%へ——中小企業の借入への影響」参照)。経営者保証の扱いは「経営者保証なし融資が55.7%に——外すための3要件」で整理しました。

第三に、複数の金融機関と、事業の話ができる関係を保つことです。メインバンクとの関係を大切にすることと、一つの金融機関だけに頼り切ることは別の話です。日ごろから複数の金融機関に自社の事業と計画を知ってもらっておけば、再編で方針が変わったときにも相談先があります。金融機関の側でも、事業の中身を理解した支援を重視する動きがあります。事業の将来性を評価する新しい融資の仕組みは「企業価値担保権とは——事業全体を担保にする新しい融資」で紹介しました。

金融機関への説明を含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

✔ ポイント

金融機関との関係は、これまで担当者との信頼関係に支えられてきた面があります。それ自体は大切なものですが、再編が進む今は、人に頼った関係だけでは足りません。自社の数字と計画を、誰に対しても同じように説明できる状態をつくっておくこと。それが、相手がどう変わっても揺らがない関係の土台になります。説明に使う資金の見通しは、資金繰り表の作り方の記事で紹介した表がそのまま使えます。

まとめ

  1. 2026年のメインバンク調査では、予定を含む1県1行体制が全国13県に増え、地銀の統合・再編が加速している
  2. 取引社数の増加率ではネット銀行が上位4行を占め、業態を超えた競争が激しくなっている
  3. 統合や合併の後は、担当者や窓口、手続きが変わることがあり、これまでの関係がそのまま続くとは限らない
  4. 備えは、自社の数字を定期的に説明する、借入の全体像を一枚にまとめる、複数の金融機関と事業の話ができる関係を保つ——の3つ

当社のコムレイド経営企画部では、金融機関に説明できる月次の数字や事業計画の整備を、CFO・経営企画のプロが伴走してご支援しています。「銀行に、自社の今と先行きを数字で説明できるようにしたい」という段階のご相談は、経営管理 無料診断(60分・オンライン)でお気軽にどうぞ。


出典(2026年10月16日閲覧)

執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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