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上期が終わったら——下期の着地見込みを見直す4ステップ

3月決算の会社にとって、10月は上期(4〜9月)の数字が出そろう時期です。上期の振り返りは「予算に届いたか、届かなかったか」の確認で終わりがちですが、本当に大事なのはその先——下期をどう過ごせば、年度をどこで着地できるかを見直すことです。

「はじめての予実管理」の記事では、月次で着地見込みを更新する型を紹介しました。今回は、半期の節目に行う、少し深い見直しの手順を解説します。

上期の振り返りで「やってはいけない」こと

最初に、よくある失敗を2つ挙げておきます。

1つ目は、予算そのものを書き換えてしまうことです。上期が未達だったからといって予算を下げると、年初に何を目指していたのかが分からなくなります。予算は年度の目標として残し、別に「着地見込み」を更新するのが基本です。

2つ目は、上期の実績に、下期の予算をそのまま足してしまうことです。下期の予算は、半年前の前提で作られています。その後に変わった前提を反映しないまま足し算をすると、着地見込みは楽観的にずれます。

着地見込みの考え方

着地見込みは、次の式で考えます。

上期の実績 4〜9月・確定した数字 + 下期の見込み 前提を置き直して作る = 年度の着地見込み 予算は書き換えずに残す 年間予算との差を確認 差があれば、下期の打ち手で埋める

図1:着地見込み=上期の実績+前提を置き直した下期の見込み

ポイントは、下期を「予算」ではなく「見込み」で置くことです。上期の実績は変えられませんが、下期の見込みは、置き直した前提と、これから打つ手によって変えられます。

なお、予実管理を含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認できます。

下期の着地見込みを見直す4ステップ

STEP 1 上期の差異を 要因に分解する STEP 2 下期の前提を 置き直す STEP 3 着地見込みを 更新する STEP 4 打ち手を決めて 共有する

図2:下期の着地見込みを見直す4ステップ

STEP 1:上期の差異を要因に分解する

上期の実績と予算の差を、「なぜずれたのか」まで分解します。売上なら、件数がずれたのか、単価がずれたのか。費用なら、量が増えたのか、価格が上がったのか。分解の仕方は「KPI設計の進め方」で書いたKPIツリーが使えます。

ここで大事なのは、差異を一時的なものと下期も続くものに分けることです。たまたま大口案件が前倒しになった、といった一時的な差は下期には持ち越しませんが、単価の下落や人件費の上昇のように続くものは、下期の前提に反映する必要があります。

STEP 2:下期の前提を置き直す

半年前に予算を作ったときから、何が変わったかを洗い出します。今年の下期については、少なくとも次の4つは確認しておきたい変化です。

1 人件費——10月以降、最低賃金の改定が順次発効 2 支払利息——9月に日銀が政策金利を1.25%程度へ 3 資金の出入り——約束手形の廃止で支払・入金が変化 4 仕入価格と販売価格——価格転嫁が追いついているか

図3:今年の下期に確認したい4つの前提の変化

それぞれの詳細は、当ブログのニュース解説で整理しています。

自社に関係するものだけで構いません。予算を作った時点の前提と比べて、どれがどれだけ変わったかを書き出してください。

STEP 3:着地見込みを更新する

上期の実績に、置き直した前提で作った下期の見込みを足して、年度の着地見込みを出します。このとき、損益だけでなく資金繰りの着地も同時に確認してください。利益の見込みが変わらなくても、支払条件の変化などで資金の動きは変わることがあります。下期の月ごとの資金の動きは、「資金繰り表の作り方」の月次表に反映します。

STEP 4:打ち手を決めて共有する

着地見込みが予算に届かない場合は、その差を下期の打ち手で埋めるかどうかを決めます。価格の見直し、費用の削減、注力する商品や顧客の絞り込み——何をやれば、どれだけ差が縮まるかを数字で示し、経営会議で判断します。資料の組み立て方は「経営会議の進め方」で解説しています。届かない部分を無理に埋めず、着地見込みとして正直に共有することも大切です。その数字は、金融機関との対話や来期の予算づくりの出発点になります。

✔ ポイント

上期の振り返りは、来期の予算づくりの予行演習でもあります。今回置き直した前提——人件費、金利、支払条件、価格——は、そのまま来期の予算の前提になります。半期ごとに前提を見直す習慣がつけば、予算は「年に一度作って終わり」ではなく、経営の判断に使い続ける道具に変わります。来期の予算の組み立て方は年度予算の作り方をご参照ください。

まとめ

  1. 上期の振り返りでは、予算を書き換えず、別に年度の着地見込みを更新する
  2. 着地見込みは「上期の実績+前提を置き直した下期の見込み」。下期の予算をそのまま足さない
  3. 手順は4ステップ——上期の差異を要因に分解、下期の前提を置き直す、着地見込みを更新、打ち手を決めて共有
  4. 今年の下期は、人件費・支払利息・支払条件・価格転嫁の4つの前提の変化を確認する

予実管理を含む経営管理の現在地は、経営管理体制チェックリスト(約3分・無料)で確認いただけます。また、当社のコムレイド経営企画部では、上期の差異分析から下期の着地見込みの更新、経営会議の資料づくりまでを、CFO・経営企画のプロが伴走してご支援しています。「上期の数字は出たが、下期の見通しをどう立て直せばいいか整理したい」という段階のご相談は、経営管理 無料診断(60分・オンライン)でお気軽にどうぞ。


執筆:コムレイドコンサルティング合同会社 代表社員 千葉 学(CFO・FP&A支援)

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